離れて暮らしている長男と久しぶりに再会し、つかの間の親子水入らずの時間を過ごした。
彼の大学生活を少し覗き、アルバイト先の店長にもご挨拶して、住んでいる街を自転車で散策した。
これまでは生まれてからずっと一緒にいて、彼の世界と私の世界はかなり重なっていたけれど。
ここは、私とは全く交わりのない彼の世界なのだな、と感慨にふけった。
アパートもちょっと覗いてみたかったけれど、本人がイヤそうだったのでやめておいた。きっとかなり汚れていることは想像できる。
「ここは彼の世界」
私が知らなくても全く問題ないのだ。
時間が来て、これから友達と待ち合わせをしているという彼と別れて帰路についた。
先ほど、彼から自分のサークルの発表会の動画が送られてきた。派手に失敗している彼の様子を次男と大笑いしながら観た。
きっと、緊張するとパニック状態になる彼の特長が発揮⁉されたのだろう。
一緒に暮らしていた頃なら、自分も一喜一憂してしまっていた。でも、これは彼の問題なのだ。一生懸命頑張っている。そして失敗したのだ。立派に。
そして彼は、粘り強く継続することで、自分の持ち味をちゃんと活かしていけることを、自分の世界で証明しているのだ。
私達が背負うものは、あとは学費だけか。
とても身軽になって、旅を終えようとしている。