ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

瞬間移動

 朝のニュース番組の中で、アプリを使ってその日のテーマについてアンケートする、というコーナーがある。

 わざわざアプリを使ってアンケートに答えたことはないが、ちょうど朝食の時間に当たるので、食卓に集いながら自分の考えを何気に口にするのが我が家の日課になっている。

その日のテーマは

あなたがほしい能力は
未来予知 瞬間移動 テレパシー
とうち、どれか

というものだった。

未来予知
あんまり知りたくないなぁ。怖いし。

テレパシー
人の気持ちなんて、知ってしまったら何もできなくなるわ💦💦

瞬間移動
これがあったら、主人に転勤があっても単身赴任にならなくてすむなぁ。

 ちらりと主人を見ると、どうやら同じ思考と思われる。そう感じながら「私は瞬間移動」と口に出そうとしたら

「これは『瞬間移動』でしょ。」

と次男が言った。転勤を繰り返してきた我が家なので、これはみんな共通な思いなんだなぁ、と思ったら次男は続けて

「これがあったら○○町(今住んでいる町)から離れなくてすむもんね。」

とのこと。

 これは意外だった。彼はもともと「アーバンライフ」に憧れていて、賑やかな街のいろんなお店に囲まれて暮らしたいと常々口にしていた。対してこの町は、自粛中もマスク要らずでお散歩できる環境である。

 この町に来た当初、私がこの町を褒めるたびに彼は不機嫌そうな顔をしていたものだ。もちろんその時は、慣れ親しんだ土地を離れて知らない街に来た不安や不満が強かったと理解できるが。

 主人が前記の次男の発言を受けて、私同様、驚きの表情をして
「お前、本当にこの町が好きになったんだな」とちょっと感動して言った。

 周りの人達に恵まれたのだと思う。彼をまるごと受け入れてくれる環境のなかで、のびのび自分らしく過ごし、いろんな手応えを得ているからこその、その心境なのだろう。

 親の私たちは、「単身赴任回避」のための瞬間移動。息子は「この地の人達と離れたくない」ため。この辺りのズレも、成長なのだろうな、と受け止めた。

 ただ、まだ「瞬間移動」を求めているということは、「アーバンライフ」への憧れは続いているらしい(笑)

 瞬間移動があったとしても、中3の彼は、4月には今の環境とは違う生活が始まる。瞬間移動では時を止めることはできないのだ。せめて、瞬間移動を求めるほどの大好きな「今」を、大切にしてほしいと心から願った。