ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

鍋敷き

 数年前からずっとうちにあった鍋敷きを見て、突然次男が言った。

「お母さん、この鍋敷きかわいいよね。これ、俺が独り暮らしをするときにちょうだい。」
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 ちょっとビックリした。次男は私が常々「今を生きる男」と揶揄するほど、先のことを考えることをしない。過去の失敗からも学ばず、先に備えて準備をすることも苦手な彼は、周りがあきれるほど同じ失敗を繰り返す。

 来年は受験生だというのに、自分の進路先など全く意識することもなく、たぶん漠然と「なんとかなる」と思っている。そんな彼が、「将来独り暮らしをすること」を想定するとは…。

 きっかけは想像がついた。就活のため長男が帰省していたからだ。大学に行くため独り暮らしを始めた彼は、帰省してもなにかと気が効くので正直とても助かる。「今回、オレは飲み物大臣になる。」と宣言し、滞在中ずっと冷蔵庫の飲み物を管理してくれた。缶ビールがなくなれば補充し、ガラスポットの麦茶がなくなりそうになると、煮出してストックしてくれる。

 コンビニのバイト先のおばさまがたに鍛えられ、せっせと仕事をこなす姿に主人と何度も「独り暮らしをさせるもんだねー。」と、長男の成長ぶりを喜んだ。

 そのセリフを次男が耳にし、「いつか自分が独り暮らしをする日」を想像させたに違いない。

 とはいえ、こちらが期待する「独り暮らし」の効用を考えたのではなく、自分が一人で暮らしている「妄想」を始めたのだ。しかもかなり身近なところから。

 そして目についたのが…「鍋敷き」

 そこからこちらが期待するところまでははるかな開きがあるが、これももしかしたら最初の一歩かもしれないと、密かに心に留めておこう。この鍋敷きは、君の旅立ちの時のために、大切にしておくからね。

 その時、君はこの「鍋敷き発言」を覚えているかしら。