ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

父の手仕事

父は、会社員の仕事を退職した後、指先の運動に、と広告チラシを折って紙箱を作るのを日課にするようになった。簡単なように感じるその作業は、父らしい丁寧さとこだわりが加わり、徐々に職人のような手さばきになっていった。しかも、これも父らしいのだが…

最期の握手

私の父の納棺の時、息子は泣いていた。よほどのことがないと泣かない彼が珍しいことだった。 後から話してくれたことだが、彼は荼毘に伏す前に、「じいちゃんと握手をしよう」と決めていたのだという。父とは離れて暮らしていたので、孫である私の息子と別れ…

ぬくもり

小樽に住む父が亡くなったと連絡が入り、実家に駆けつけた。その日の朝に本人から電話をもらって明るく話したばかりで、全くピンとこない。しかし、家に着くと父の顔には白い布が被せられ、枕元にはろうそくと線香がおかれていた。 その違和感を振り払うよう…

父の生き方

私たちの幼い頃、父は典型的な仕事人間で、いつも朝早く家を出て、遅くに帰ってきました。子どもながらに感じていたのは、真面目で何事にも丁寧で、厳しいけれど、面倒見のいい仕事人としての父。忙しい毎日だったはずなのに、幼い頃の父との思い出はたくさ…

お帰りなさい

心臓の手術を受けて、あと一週間で家に戻れるはずだった父の心臓が突然止まった。そして、なす術もなくあっという間に遠くへいってしまった。 今朝も病院から電話をくれた。昨日は痛みもなく良く眠れたと言い、ごはんも全部食べたと言っていた。その履歴が「…