ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

できることを探す

 今年の10月、思いがけないところから電話があり、15年以上前に勤めていた仕事に3月までの期間限定で就くことになった。学校に通えなくなった中学生を支える仕事で、かつて、自分なりの使命感を持って真剣に打ち込んでいた。そこで私が得たことは語り尽くせず、今の自分の根幹を作ってくれた大切な場所でもある。今さら仕事に就く気など更々なかったのだが、その大切な場所で困っていると聞いて断ることができなかった。

 パソコン操作や学習指導への不安はもちろん、勤め人としての常識も薄れている自分になにができるかと、最初は申し訳ない気持ちが強かった。でも、日に日に眠っていた感覚がよみがえってくるようで、「やれることをすべてやりきりたい」というピュアな情熱にちょっと浮かれている。

 3月までのたった数ヵ月の出会いを大切にするために、子ども達に発する言葉はおまじないのように勇気や元気が生まれるものにしたいと思っていた。ちょうど仕事を始めた頃、朝ドラで主人公の祖母が、失敗ばかりでなにもできないと自分に自信の持てない主人公に「失敗は悪いことじゃない。できないなら、できることを探せばいい。」と語りかけるシーンがあった。その温かさに惹かれ、それからわたしは毎日口癖のように「できることを探せばいいよ」と言い続けている。

 みんなの前で発表できなければノートに書いてもいいし、参加することがつらければ見ているだけでもいい。なにをしていいかわからなければ、隣の人をそっくり真似してみてもいい。できることを探すことで、すべてはポジティブに変換できるのだ、と。そして毎日、彼らと一緒に、できることを探す日々を送っている。

 私に期間限定の使命を与えてくれたのは、神様だろうか。仕事をしていなかった間に自分の中に蓄えられたことが、今の仕事にたくさん生かされていることを感じ、ここまでの生き方を肯定できたような気がするのだ。