ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

父とお粥

 次男がインフルエンザに罹った。あれよあれよと熱が上がり、人生初の40度越えを達成した。さすがに食欲もなくて、家族と同じものは食べられないので、お粥を作って食べさせた。

 

 その時にフッと記憶がよみがえった。私が人生で初めて「お粥」を作った日のことを。

 

 確か、小学校4年生くらいだったのではないか。昼間、家で一人で留守番をしていたら、仕事に行っていた父が突然帰ってきた。熱があるのだという。母は専業主婦で家を守っていたので、父は母がいるはずだと思って帰ってきたのだろう。今のように携帯電話などないのだから、呼び戻すこともできない。父は私に「お粥を作ってほしい。」と頼んだ。

 

 しかし、甘やかされて育った私はたぶんその頃、一人で料理などしたことがなかった。ましてや、お粥は食べたことはあるが作り方など知る由もない。父に、お粥はどうやって作るのか聞いた。

 

「鍋に水と冷やご飯を入れて、少し塩を入れて煮るんだ。」熱で苦しそうな父は、それでも辛抱強くそう教えてくれた。

 

 さあ、困った💦💦でも、苦しそうな父のためにここはやるしかない❗健気にそう考えた私は、おっかなびっくり台所に立ち、ドキドキしながらガスコンロを使い、一体、塩はどのくらい入れるのかと不安になって何度も味見をした。

 

 出来上がったお粥を、父は全部食べた。というか、実は足りなくなってしまった。私が味見をしすぎて、最初の量よりずいぶん減ってしまったからだ。

 

 ここからははっきりした記憶ではないが、確か父は少し休んでまた仕事に出かけていったように思う。あの頃の父は、大きな責任を担っていて毎日忙しく、早くに出かけ、遅くに帰ってきてきた。具合が悪いからといってゆっくり休んでなどいられなかった。たぶん、あの日も熱が高くても仕事を休むことはできず、少しでも体を休めたくて仕事の合間に帰ってきたのだろう。

 

 私は今でも、あの時父に教えてもらった方法でお粥を作っている。