ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

父の生き方

 私たちの幼い頃、父は典型的な仕事人間で、いつも朝早く家を出て、遅くに帰ってきました。子どもながらに感じていたのは、真面目で何事にも丁寧で、厳しいけれど、面倒見のいい仕事人としての父。忙しい毎日だったはずなのに、幼い頃の父との思い出はたくさんあり、愛情いっぱいに育ててもらいました。

 私たちが巣立った頃、父は母を連れて全国のあちこちに移り住み、新しい仕事に挑戦しました。大人になった私たちに、その頃の父はよく仕事の話を聞かせてくれました。父の仕事に誠心誠意打ち込む真面目さ、丁寧さを、幼いときとは違う視点で知り、そのような父を誇りに思いました。
 
 退職し、故郷の小樽に帰ってくると、父は今までできなかった様々な趣味を楽しむようになりました。庭での畑仕事、老人会のパークゴルフ推理小説の読書など。さらに、人様のお役に立てることをと、町内会の花壇の整備をしたり、家の周囲を雪かきしたり、チラシで紙箱を作り、必要な方に差し上げたりしていました。そのような時にも、父のやり方はやはり真面目で、丁寧で、誠心誠意。仕事であっても趣味であっても、父は何に対してもそういう人なのでした。

 歳を重ね、定期的にリハビリ施設に通うようになると、父の言動に思いやりと優しさが増していきました。若い頃は自他共に厳しかった父。頑固になりがちな高齢になってこそ、父は柔軟に自分を進化させていきました。

 孫たちには、甘いおじいちゃんでした。孫の活躍はどんな些細なことでも大喜びでした。それがどれだけ彼らの励みになったかわかりません。

 病にも苦しみましたが、父はこれにも真面目に取り組みました。最後の手術は大きな挑戦でしたが、父はきっとおっかなびっくりではなく、これからも「誠心誠意」生きていきたかったのだと思います。コロナの影響で、入院中に母と会えなかったのは寂しかったと思いますが、まるで若い恋人同士のように携帯電話で連絡をとり、互いに思いやっている両親を、宝物のように感じました。

 真面目で、丁寧で、誠心誠意。父の生き方を私たちは誇りに思います。今まで本当にありがとう。ずっとずっと大好きだよ。