ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

アカデミアの歌

 朝早くに母から電話が来た。新聞に、昔私がお世話になっていた塾の先生のことが載っていると言う。

 そこに行くのが大好きで、長く心の拠り所となっていた場所だ。学習塾ではあったが、「君たちはどう生きるか」をいつも問われているような、厳しく、でもあたたかい場所だった。そうだ。塾の歌、あったなぁ。教室の前に掲げてあったはず。そこまでは浮かんだが、塾の歌がどんな歌だったのか、思い出せない。モヤモヤをそのままにして、日常のルーティーンをこなしていると、ふっと最後の「あぁ、アカデミア」という歌詞とメロディが蘇り、そこから絡んだ毛糸がスルッとほどけるように、その歌が口からこぼれ出てきた。

 

互いに学び、互いに遊んで

共に過ごした 仲間達よ

先生と私たちの強い絆

たとえ離れても忘れない

互いに信じ、私達だけの

心のふるさと、ああ アカデミア

 

 そして、その頃の思い出の数々も溢れ出てきた。確か、その歌は私よりも年上の学年の仲間で作り、先生がとても嬉しそうに私達に紹介してくださったのだ。先生が、一フレーズずつ口ずさんでは、「いいだろう?」と自慢げに言う、その場面ごと蘇ってきた。そうだ、それに私達が卒業する時には、仲間みんなで手をつないで輪になり、この歌を歌ってお別れをしたっけ。

 

 数えきれないほどの楽しい思い出も、数々の恥ずかしい失敗も、今でも心に残る先生のセリフも、もう会えなくなってしまった友の顔も、歌がBGMとなって浮かんでは消えていく。あそこは、与えられたものに囲まれてすべてが自分中心だったほんの子どもの私に、大人になるための強烈な刺激を与えてくれた、私の人生の大切な場所だった。

 

 大好きな先生に恥ずかしくない生き方を。その思いは、今もかわらない。イベントには参加できないが、この日は私も心の中で、再び思い出したこの歌を歌って過ごそうと思う。