主人が単身赴任をしてから二週間が過ぎた。単身赴任は12年ぶりである。子どもが小さかったその頃とは違い、平日は朝晩の定時電話もシンプルで、安否確認をして、おはようといってらっしゃい、お帰りなさいとおやすみを伝えるのみ。表面上は淡々と毎日が過ぎていっている。
ただ、ふとした時に、違和感を感じる。朝起きたときに、いつもいる隣にだれもいない、とか、ご飯を炊く量がうまく決められず、やたらに冷凍ご飯がたまってしまうとか、洗濯物が常に少ないとか、そういえばゴミも少ないとか、お酒の減りが遅いとか。
少しずつ慣れていくとはいえGWくらいまでは、この「違和感」と共存していくのだろうな、と思う。それも淡々と。そんな風にいられるのは、次の帰省の際にいままでの感覚を再び感じて、「そうそう、これだよね。」と以前の感覚を再認識できることがわかっているからなのだろう。
そして、あらためて感じた。父が亡くなってから、母は毎日この違和感の繰り返しだったはずだ。大きいことも些細なことも。そして、それは違和感が辛いのではなく、もう二度と「そう、これこれ。」と感じることがないことが辛いのだと。うまく言えないけれど…。
前クールのドラマ「百万回言えばよかった」で、最後に、死んでしまった恋人がよみがえり、1日これまでと同じように一緒に過ごすという「奇跡のプレゼント」のシーンがあった。そんなプレゼントを母に贈ることができたらどんなにいいか。違和感のひとつひとつを、せめてもう一度だけでも埋めることができたら、言いたかったことを伝えることができたら…。
4月30日は父の一周忌だ。父がいなくなった最初の一年が終わる。