ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

主人公のその後

 先日、両親が十勝に遊びに来てくれた。昨年の6月に続いて、1年ぶりの訪問である。
 昨年は、父が大病から生還し、闘病を支えた母と共にこの地に来てくれたのだが、二人ともとても喜んで、「また来るね。」と約束してくれた。 

 これからはゆったりと楽しい時間を…と願っていたが、それからまもなく、父は思いがけないトラブルに巻き込まれてしまった。理不尽なことが続き、腹をたてたり憎しみを口にすることもあったが、父は父らしい緻密さと粘り強さで、その問題の解決に当たった。やっとその出口が見えた頃、今度は頼りにしていた実弟が病気で先に天に召されてしまった。
 
 楽しい時間になるはずだった1年間は、つらい戦いに振り回されたうえに悲しい別れに打ちのめされた。だからこそ、次の一年をいい一年にしてほしくて、今年も二人を十勝へ誘った。

 十勝は今年朝ドラ「なつぞら」の舞台となっている。そのゆかりの地を訪れたり、秘境といわれる温泉に泊まったり、十勝の酪農や農業の新しい形を見せてあげようと知り合いに案内を頼んだりして、私たちなりに喜んでもらえるプランを練って、精一杯のおもてなしをした。

 その気持ちを、今回も二人はきちんと受け止めてくれた。足が弱くなってしまった父にとっては、「歩いて移動」というのはこちらが考えている以上に大変なことなのだと感じたが、たぶん、かなり頑張って歩いてくれたと思う。そして、旅行中の少々の当て外れなどは気がつかないふりをして、ずっと感謝の言葉を口にしてくれた。

 なつぞらの主人公が育った牧場の一風景で二人の写真を撮ったとき、そこに漂う雰囲気に、思わず「主人公のその後」と題名をつけてしまった。

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一生懸命生きてきて、今がある。そんな当たり前を感じさせてくれる気がした。

「お父さんが元気じゃないと、私一人では来られないわ。また一緒に来ようね。」

 旅の終わりに母が言った。
ずっと父を支えてきた母らしい言葉だな、と思った。