ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

先輩

 いつも通っているジムで仲良くなったお友達は、10才ほど年上の「先輩」だ。その関係は、まさに仲良しの先輩後輩のようで、転勤族の私に地域の情報を教えてくれたり、お料理の苦手な私にお手軽メニューを伝授してくれたり、と何かとお世話になっている。ともにファンである北海道日本ハムファイターズの勝敗に一喜一憂し、甲子園の熱戦はジムのマシーンでジョギングしながら目の前のテレビで一緒に盛り上がる、そんなにぎやかな関係の私たちだった。

 持病のあるご主人が、少々体調を崩したとかで入院した時も、心配する私に「大丈夫❕」と笑っていた。それでも、きっと心配だろうし寂しいだろうな、と私なりに気を遣い、彼女が明るく過ごせるようにと努めていた。

 そんなある日、ジムに行くと、そのご主人が亡くなったという知らせを聞いた。そんなはずは…ずいぶん良くなってもうすぐ転院すると話していたのに…。何か事故にでもあったのではないかと思いながらお通夜に赴くと、そこで、ご主人がすでに余命宣告をされていたことを知った。

 葬儀場の出口で彼女の前に立つと、彼女はわたしを抱き寄せ
「嘘ついてごめんね。どうしても言えなかった。」と、泣きながら言った。

 わたしはうなずくだけでなにも言えず、ただポロポロ泣くだけだった。

 あらためて感じた。
私なりに彼女に気を遣っているつもりが、結局私の方がドップリ気を遣ってもらっていたんだなぁ、と。
やっぱり先輩にはかなわない、と思った。

 葬儀を終えた日、「娘とビールを飲んでるよ。」とメールが来た。「大丈夫だよ。」というメッセージだなと思った。これからも、変わらず先輩は、ファイターズ談義に興じながら私と一緒にゲラゲラ笑って、明るく過ごしてくれるだろう。でも、来年からは大好きな甲子園の熱戦を観るにつけ、ご主人とお別れした今年の夏を思い出すのだろう先輩のことを思うと切ない。