我が家の周辺は今、タンポポの花真っ盛りで、あちこちに黄色のカーペットができている。
それはそれで見ごたえがあるのだが、昨年は、このあとに起こる綿毛の散乱に閉口してしまった。洗濯物にもたくさんくっついてくるし、網戸にもビックリするくらい引っ掛かっていたりする。
それに、この借家の荒れた敷地に、掘り起こした小石で囲った花壇を開墾⁉️してまだ一年…とはいえ、ささやかなガーデニングを嗜む身としては、我が庭でタンポポがこんなにも存在感を発揮されては立つ手がないというもの。
というわけで、自分なりのミッションを設定した。「我が家の敷地ではタンポポの花を咲かせない」という、名付けて『タンポポ排除作戦』(そのまま💦💦)。うちの庭だけ花が咲かなくても、綿毛の被害は変わらないだろうが、我が庭の主導権をタンポポに引き渡すわけにはいかないのである。
タンポポが咲き始めた4月半ばから、花を見つけてはシャベルで根元から葉ごとカットしていった。最初のうちは1日20株程度だったのだが、それが日に日に増えていった。あっという間に100株を越え、今や数える気力すらない。庭を這いつくばって、 30分から1時間かけて何とか庭からタンポポ色を排除する。
ところが…、翌日の朝にはまた同じだけの数のタンポポがあちこちに咲いている。そして、この繰り返しがもう1ヶ月近くも続いているのだ。取り除いても取り除いても、何てことはなかったように、翌日また咲き誇っているタンポポ…。
最初は「負けるものか」という気持ちだったが、徐々に「胸を借りる」という心境となり、今となっては「恐れ入りました」という思いである。「ホホホホ…」というタンポポの余裕の笑い声が聞こえるよう…。
必死でタンポポを排除し、小さな満足を感じて一日を終え、次の朝、庭を見て「えー⁉️」とのけ反り返る。そしてまた同じように庭を這いつくばる…そんなことを繰り返しているうちに、タンポポにからかわれているような、いや、タンポポに遊んでもらっているような謙虚な気持ちになってきた。