ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

母のチャレンジ

 久しぶりに母に会ってビックリした。いつも黒く染めていた髪が、ずいぶん白くなって、雰囲気も以前とは違い、一瞬戸惑ってしまった。「だいぶ白くなったでしょう。もう少しで完成。」と、照れ臭そうに笑った。

 前に会ったとき、「もう髪を染めるのはやめようと思うの。」と言っていた母。年を取ったから…というような弱々しさではなく、「この辺で思いきってやってみようかな」というような茶目っ気を感じて、「なかなかやるな。」とエールをおくりたい気分だった。

 あれから3ヶ月弱。ショートカットの母は、「完成」も早く、もうすぐ見事な白髪になりそうだ。

 ところで、その日のこと。機会があり、母を長女とする三姉妹がそろった。

 するとなんと、三姉妹がそろって白髪チャレンジ中だった❕どうやら仲良し姉妹の三人の間で、一人が先にチャレンジし、残りの二人が追随したと思われる。

 これもまた、茶目っ気を感じて笑いたくなった。まるで姉妹で結託していたずらをしているみたいだ。母は妹たちの完成具合と自分を比べながら、真っ白に到達するのをわくわくしながら待っている。

「髪が白くなったら、こんな暗い色の服は似合わないのよね。」

 と母。これは、少しずつタンスの中の洋服をチェンジしていこうと企んでいるな。おしゃれ心も高まっている様子。今までは躊躇していた思い切った着こなしを思い描いているに違いない。

 世の中で「グレイヘア」が流行っているのは知っていたが、そのきっかけのタイミングは幅広く、メンタルへの効用は大きいなぁとあらためて感じた。なんとなくしがみついていた黒髪へのこだわりを潔く切り捨てると、その分、顔があがり、笑顔も溢れてくるだろうことが想像できて、他人事ながらこちらもワクワクしてくる。

 私もいつにしよう。いつか私も母と同じチャレンジをしたいなぁと思う。そのときは、今の母の気持ちをもっときめ細やかに共感できるだろう。

 この年になっても、母は大きな道しるべである。