ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

レースのカーテン


 夕方になり、窓の外に気配を感じると、私はいそいそとレースのカーテンを開ける。

 我が家のベランダは隣接する高校のグランドと面している。グランドでは野球部の練習が始まろうとしているのだ。
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 その高校の野球部員は3年生1名のみ。よくある高校野球の部活のイメージとは違う。「1人だけなのか。かわいそうだな」と最初は勝手に思い込んでいた。

 しかし、練習風景を眺めているうちに、マイペースながら粛々と進んでいく練習の様子に、自然と心が惹きつけられる。「たった一人」という孤独感はそこには全く感じられない。顧問の先生と一緒に、その他の先生や時には他の生徒さんが見守る中、キャッチボール、ノック、ピッチング練習…部活動は休むことなく毎日続いている。後片付けも先生と一緒。それもいい。

 中学生の息子も、学校から帰ってくると自分の部屋のグランド側の窓を開ける。自身も野球少年である息子からの「応援と尊敬」の気持ちが伝わってくる。

 聞けば、近隣の高校と合同チームを作り、これから最後の大会に臨むのだとか。
たった一人の部活動だが、彼の野球愛をたくさんの人が応援し、共に寄り添って活動してきたのだろう。もうすぐ、それも終わるのか、と思うと切ない。

 彼がここを卒業していっても、きっとこの満たされた「野球の時間」が、彼をずっと応援してくれるのかな、と思う。

 レースのカーテンを開けるのは、陰ながら私も…という応援の印である。