ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

背番号

 この四月に無事に高校生になった次男は、予定通り野球部に入部した。そして、連休が終わった翌日、部活から帰ると「これをお願いします。」と背番号を私に手渡した。

 次男が野球を始めたのは小学校三年生の時。長男もそうだったので、背番号をユニフォームに縫い付ける仕事は、かなり長い期間担ってきた。裁縫が苦手な私は、最初はこれがくると気が重かった。一見簡単な作業のように感じるが、首元から何センチという規定があるうえに、それでなくても、ちょっと油断するとまん中がズレたり、どちらかに傾いたり…。悲惨なのは縫っている途中で針が他の位置の布をすくってしまった時で、せっかく縫った分を丸々ほどく羽目になったりする。野球業界でスナップボタンかマジックテープでつけるように統一してほしい、と真剣に願っていた。

 しかし、だんだん気持ちが変わってきた。日々野球の練習を見守り、数々の試合を息をのんで応援し続けるうちに、背番号を縫い付ける仕事はとても神聖なことになった。

 まん中がズレないように、曲がらずに真っ直ぐになるように、よれたりたるんだりせずビシッと背中に張り付くように、まち針を調整し、何度も確認しながら、ひと針ひと針丁寧に心を込めて縫い上げていく。

 考えてみたら、独り立ちするまでの総仕上げの時期に入った次男には、できるだけ自分のことは自分でやれるようにと手助けは控えることを心がけている。彼に大腕をふってやってあげられることと言えば、お弁当を作ることと背番号を縫い付けることくらいかもしれない。それも、あとわずか。

 そんなことを考えながら、一時間半かけて、背番号15を縫いつけた。これを背中に、たくさんの青春の財産を得られますように。
ltlg7ZtiXo.jpg
今日から春の大会が始まる。