ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

思い出ダンボール

 主人の転勤が決まり、家族そろって道南の自宅に戻ることになった。

 十勝に来て3年、たくさんの出会いがあり、たくさんの居場所ができた。その一つ一つとお別れしなくてはいけない。しみじみ考えると寂しいので、できるだけ気持ちをフラットにして、淡々と荷造りに励む。

 引っ越しが近づくにつれ、大切な居場所の「今日で最後」が次々にやってくる。町民教室や、新しい趣味となったオカリナサークルのお仲間、仲良くしてもらったママ友、習慣だったジム通いのスタッフやお友達。「お世話になりました」「お元気で」を連日繰り返し、家に帰っては一転、荷造りに励む。

 慌ただしい毎日が幸いして、寂しさに浸ってはいられないが、ダンボールにガムテープで蓋をする度に、ちょっと切ない気持ちになる。

 「今日で最後」とあちこちでお別れをしてくるのは、このガムテープで蓋をする作業にちょっと似ているな、と思う。たくさんの思い出を詰め込んで蓋をする。荷物と違うのは、引っ越し先でこの箱を開ける日はこないかもしれないということ。もちろん、中には今後もずっと長いお付き合いをすることになる人もいる。けれど、引っ越しの度に、これまでの日常がスッパリと切り替わっていくことを繰り返してきたので、ここでの楽しい日々も当たり前のようにそうなることをもう知っている。そして、それを引きずることは得策ではないことも。

 今までの日常は、蓋をされたダンボールの中で思い出になっていく。でも幸いにこのダンボールはとっておいても場所をとらないので、ずっと大切に保存しておこうと思う。