ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

余ってしまった切手

 中野先生。あっという間に逝ってしまいましたね。

 病院にかかり、病気が見つかり、あと一ヶ月と告げられ…そして、そのひと月も待たずに、一目会うことも、声を聞かせてくれることもなく…。頑なな姿勢は、きっと先生の美学だったのだろうと、思っています。

 

 昨年の春、突然お電話をくださり、途切れていた交流を再開することができました。夏には久しぶりの再会。感動で思わずハグしたこと、今も胸が熱くなります。メールのやりとりもして、次男の高校野球の応援も熱心にしてくれましたよね。何気ないやりとりも楽しかったです。10月になり、私の仕事が急に忙しく余裕がなくなり、メールのやりとりの間隔が空いてしまいました。特に意識していた訳じゃなく、「冬休みにゆっくり」とか「春には会いに行こう」とか考えて、なんとなくメールを送るのを先延ばししてしまったように思います。

 クリスマスのプレゼントに手袋を送り、きっと先生からメッセージが届くだろうと楽しみにしていました。でもメッセージが来なくて、おかしいなと思っていた頃、先生の施設のお友だちから連絡をいただきました。先生のご病気の状況を。

 

 携帯電話をかけても、メッセージを送っても、連絡がとれず。携帯の電源は切られたままでした。先生はその頃、自分の人生を終えるための心の整理で精一杯だったのですよね。せめて、先生にして差し上げたいことがたくさんあったけれど、病院の規則で会いに行くことも叶いませんでした。だけど、先生の大切なお友だちが不安を受けとめたり、手や足をさすったり、そんなことをしてくださっていると聞き、とても救われる思いでした。先生、寄り添ってくださる方がいてよかったですね。

 

 それでも先生に気持ちを届けたくて、手紙を書きました。そうしたら、お友だちが手紙を読んで聞かせて下さったと。だから、それからは先生への気持ちを毎日ハガキを書いて送りました。いろんな思い出が溢れてきました。

 そんな風に、ハガキを書き続けて過ごすようになった今日になって、午後に先生が旅立たれたと連絡を受けました。

 

 ねえ、先生。先生は私に最期に大切なことを教えてくださいましたね。それは、小さなやるべきことを先延ばしにしてはいけない、ということ。私の一週間は先生の一週間と違うことに、どうしてもっと気持ちを配らなかったのか。ずっと先の再会の約束より、こまめなメールの方がずっと先生を力づけてあげられたはずなのに…。今回の私の痛恨の、取り返しのつかない後悔…「もう後悔のないように」そう先生が私に教えてくれたのですね。

 先生の教えを、心に留めて残りの人生を生きていきます。もうじゅんこちゃんと呼んでくれる人はいなくなってしまいました。

 先生のために準備したハガキ用の切手がたくさん余っています。もっと書き続けたかったのにな。