ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

季節に追いつく

 コロナ禍の自粛生活が始まって二ヶ月半になる。最近、自分の時間感覚のズレに苦笑いすることが多い。「今」という時間を未だ3月頃のイメージでとらえてしまう。

 いつもならとっくにコンセントを抜いているストーブにも、つい手をのばしてしまう。寒いからではない。自分の中で季節が進んでいないのだ。

「卒業式」や「入学式」に寄せるしみじみとした思い、息子の学校の新学期の慌ただしさ(参観日やらテストやら)、ゴールデンウィークに試合が始まる息子の野球に感じる躍動感、それがいつまでもやってこない。何より、いつもなら「行ってきます」と出かけていく息子がずっと家にいる。いつまでも春休み気分なのである。

 それでも、自然が時々「ほら、もうこんなに季節が進んでいるよ。」と教えてくれる。桜が咲き始めたときは、「今年もちゃんと桜が咲くんだなぁ」と感動した。庭の草花に鮮やかな色が加わってきて、「あれ、外はもう暖かいんだなぁ。」と気づかせてくれた。

 ところが、寝坊した枕元に優しいささやきで起こしてくれるようなこのテンションが、一気に破られた。友人が山ほどの山菜を差し入れてくれ、その上、「明日は、たらの芽を採りに行くよ❕」と、エネルギッシュに宣ったのである。

「え~⁉️もうそんな季節だっけー?」

という寝ぼけ状態の私を、下調べは完璧😃✌️と自信たっぷりに秘密の場所へ連れていってくれた友人。「あっ、ほら、あそこに!」と、たらの芽に向かって深い笹やぶにグングン入り込んでいく。こんなところに入っていけるのか…と初心者の私が恐る恐る足を踏み入れ、どこにあるのかとじいっと周りを見回していると、笹やぶの中に大好物のたらの芽がチョコンとたたずんでいた。

「あっ、あった!」
手にとって、再度周りに目を向けると、同じようなたらの芽の低木があちらにもこちらにも生えていることに気がついた。
それまでは目に入らなかったのに、「最初のひとつ」が見つかった途端、不思議なくらいその存在に反応できてしまう。友人と私、二人で大はしゃぎしながら、袋いっぱいのたらの芽を収穫した。もはや腰の上まで生えている固い笹やぶをなんの躊躇なく踏み進めていく我々のたくましさ!

 帰り道にこごみも収穫し、夕御飯はたらの芽とこごみの天ぷらを山ほど作って食べた。
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「あー、やっぱり今は5月、たらの芽の季節だったわぁ❗」

 大空のもとでのハイテンションと、大好物のお陰で、やっと季節に追いついたのだった。