ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

ちょっとだけいいこと

 いつもなら、息子の野球の練習の送迎や遠征の付き添いで、この時期の週末は忙しく慌ただしい。しかし、新型コロナの影響で、全国に緊急事態宣言が出され、外出自粛となった今、土日はのんびり過ごす日になった。

 とはいっても、天気はいいしずっとSTAYHOMEではもったいない。幸い我が町は、「人のいない場所」には事欠かないのどかなところだ😁この地の利を生かさない方はないぞ。

 主人がなにげに口にした「ちょっと散歩でもするかな」…から、「じゃあ一緒にいこうよ。」となり、途中で休憩して🍙でも…となって、せっかくだから、と主人はサンドイッチを作り、私はコーヒーをポットに入れ、いそいそと準備を始めた。

 Googleマップでコースを決め、いざ出発❕ランチも含め二時間のピクニックコースだ。

 日常では向かわない方向に歩き出す。車に乗って通過するときには目に入らなかった情報がいっぱい入ってきて、話題に事欠かない。しかも、転勤族の私達はこの先に何があるのか知らない、というワクワク感も手伝って、どんどん機嫌がよくなっていく。

 どこまでも続く牧場エリア。そこの道をひたすら歩く。車も人も全く通らない。すこぶる景色のいい場所を二人だけで歩く。都会にいたら泊まりがけで出かけて味わう気分を家を出て30分で味わえるなんて、と笑った。
IMG00441.jpg
 せっせと歩くこと一時間。そろそろランチをとろうと計画していたエリアに近づいたところで、道が鉄の扉で封鎖されていた。鎖で縛られてはいたが鍵はかかっていない。その先に進んでいいのかいけないのか…悩んでいると、我々の来た方向の遠くから何かが近づいてくるのが見えた。「熊⁉️」と一瞬怯んだが、人間、しかも女性だった。こんなに人里離れた場所の、緩やかではあっても長い上り坂を、しかも走ってくる。どうやらトレーニング中のようだ。

 挨拶がてら話しかけ、扉の先に進んでいいのかどうか尋ねてみた。すると、その扉は山から鹿が降りてきて農作物に悪さをしないようにするためのもので、開け閉めをしっかりすれば進んでよいとのこと。その先に登山口があることも教えてくれた。

 彼女はそのあとも同じペースで我々の先を走り去った。年齢はたぶん私より上のはず。すごい人にあったなぁと感動した。

 目的のエリア付近でランチ休憩にした。景色を楽しみながら食べるサンドイッチとコーヒーがめちゃくちゃ美味しい。一時間以上歩いてきて、ランチを食べる。取り立てて目的のないこの時間の過ごし方が、ものすごい贅沢に感じた。
IMG00443.jpg
帰り道は別の道を通り、また一時間かけて帰宅した。

 家を出てから戻るまで、出会ったのはあの鉄人女子おひとりと車が一台だけだった。

 この時期の過ごし方として、はずれてはいないよね、と夫婦で確認して笑った。

 「すごく悪いことが起こったとき、そのなかでほんの少しだけいいことが起こるものだ」

以前、何かの本で読んだ。

今、世の中ではとんでもなく悪いことが起こっている。それが最悪のことにならないよう、一人一人が細心の注意を払わなければならない。

 でも、ほんの少しだけのいいことを拾う気持ちも忘れずにいたい。イライラして余裕がなくなり、不安に圧されて優しさを失い、誰かを責めたり傷つけたり…そんな空気こそ、まめに入れ換えをして、風通しよくしておかなくては、と思っている。