ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

大雪に試された私

先日、今期一番の大雪が降った。
主人が出勤しようと外に出て「ヒエッ」と声を発し、「どうしたの?」の問いに「すげえ雪。今日は午前中いっぱい雪かきかもよ。」といやなことを言って出発していった。
うちの中の朝のゴタゴタに追われて窓から外を見ることもせず、それなりに片付いたのでそろそろ雪かきでもするか…と外へ出た。

玄関を出ると、太ももくらいまでの積雪…。向かいのお家の住人が必死で雪かきをしていた。
ご夫婦に娘さん、3人とも車で通勤しているが、雪が吹き溜まっていて、車を脱出させようと必死である。

私も遅ればせながら「スノーダンプ」という除雪道具を使ってひたすら家の前の雪を裏の崖に落とす…体力勝負である。雑念を捨てて、ひたすら動く。
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ふと目を移すと、お向かいの必死度はヒートアップしていた。私には時間制限はないが、お向かいは出勤時間との闘いである。我が家周辺は住宅街なので、除雪車による除雪が後回しにされてしまうのは致し方ないところ。だから、自力で除雪して車を脱出させ、何とかして幹線道路までたどり着くことが第一関門だ。

お向かいさんが車周辺の雪をあのように道路に投げ出しているのも、今日の状況を考えると苦肉の策なのだ。普段ならしない究極の…。なぜなら、道路の雪はあとからもう一度除雪し直さなくてはいけないし、他の車の通行を考えると本来はご法度なのだから。

出勤時間の早い順に脱出していき、最後の奥さんの脱出は私も手伝って、何とか出発した。当たり前だが、道路に山積みにされた除雪途中の雪はそのまま…。

その後、私は自分の家周辺の除雪にひたすら励み、3時間かかって何とか終了した。

しかし、ずっと気になっていたのは、道路に出された雪の山…。とりあえず車一台が通れる幅は除雪したのでそのままでもいいのだが…。お向かいさんも、帰宅したら再び除雪しなおすつもりなのだろう。

でも…帰ってきてからさらにあの量の除雪はウンザリだろうな…。
だけど、私がやったと知ったらきっと気を遣うだろうな。次に大雪の時にはあちらの分もやらなくちゃ、とか…。そんなこんなから、雪かきは「他の領分には侵入しない」というのが作法の基本なのだと豪雪地帯に転勤した折教えられていた。

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そのままにしておこうかな、とも思った。しかし、出勤しようとしてタイヤが雪に埋まり動けなくなってしまっている車も朝から数台あったし、何よりお向かいさんが帰ってきた時の気持ちを想像すると、少しでも除雪途中の雪山が小さくなっていた方がいいよな、と思った。

ええいっ、今日はいいことしちゃおう!とそこからさらにその雪山に挑むこと1時間、スノーダンプで道路側から雪をせっせと崖下に運んだ。雪山が半分になったところで、体力の限界が来たのと、帰ってきてすっかり除雪が終わっていたらちょっとイヤミかな…という一応「気遣い」で、除雪は終了した。

老体にむち打って連続四時間の肉体労働はさすがにこたえ、ソファーにぐたっとなりながらも、「もしお向かいさんがお礼にみえたりしたら、気を遣わせないようにどう話そうか。」などということを考えたりしていたのである。

しかし…
そこからさらに雪は積もり…

お向かいさんが帰宅する頃には、残りの雪山にさらに雪が積もったので、私の除雪の形跡は消えてしまっていた。もちろん、最初の雪山に比べたら明らかに半減しているのだが、慌てて出勤したお向かいさんは最初の雪山の大きさなど覚えているわけもなく…。

その後、何度もお向かいさんにお会いして挨拶を交わしているが、そのことにはひと言も触れてこない。お向かいさんは常識的なよい方なので、私の除雪のことは全く気がついていないのだと思う。

ヨカッタヨカッタ…
のはずなのに…

全く自分の未熟加減に情けなくなる。私の中に、この一連のことにガッカリしている自分がいるのである。
私は自分のささやかな善行に対して「ありがとうございます。」といってほしかったのである。もちろん、具体的な見返りなどを求めていたわけでは決してない。ただ、誰かに気がついてほしかった…というか…

あらためて、豪雪地帯で教えられたあの「雪かきの作法」は、やる方やられる方双方の心理を考えてのものなのだと再認識した。やってあげる、などという心理ほど危ないものはないのである。

文章にするのも情けない…自意識過剰な自分…。お気遣いなく…などとはどの口が言ったのか。

まだ大人になってない…
そのことを再度自覚した。

ここに書き印して、改めて精進します🙇