ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

お父さんっ子

 高齢の父が昨年病気になった。治療の結果今は寛解しているが、最悪を覚悟するような時期もあり、今まで考えることを避けてきたことに向かい合わなくてはならないこともあった。

 現実的な問題はさておき、このタイミングでずっと忘れていた光景を思い出した。
 小さいころ、父が仕事から帰ってきたら、その父のあぐらを椅子のようにしてチョコンと収まるのが私の定位置だったことだ。私が少し大きくなると、今度はソファーに座る私のひざの上に、横座りする父の足が遊園地の乗り物のシートベルトのように「装着」されるのが、自分の落ち着く場所になった。そこが私の安全地帯で、満たされた居場所だった。
 
 今では考えられないくらい、父と密着している時期があったことを、何十年も忘れていた。「そうだ、私はお父さんっ子だった。」と、その時のぬくもりと一緒に思い出した。

そうだった、そうだったと思い出したら、すごく切なくなった。病院にお見舞いに行ったとき、父は私の家族一人一人と握手をしてくれた。父に触れたのは、何だかとても久しぶりなように思った。