ごはんとみそしるの日記

日々のあれこれ

シフトチェンジ

 主人と散歩中に、素敵なコーヒー豆のお店を見つけた。そこは、もうすぐ念願のお店を開店するということで、ご主人と奥さまが準備を進めているところだった。古い貸店を好みにリフォームし、自らの手で仕上げ作業をしている。
 お店はちいさいが、設置された焙煎機は機能もビジュアルも超一流で、喫茶店ではないのにマニアが飛び付くようなスピーカーやアンティークなピアノなどが置いてある。音楽はご主人の趣味なのだとか。コーヒー豆のショーケースやカウンターなどは細かく注文をつけて作ってもらったもので、店のあちこちには奥さまがいつか自分のお店を持った時のために、と集めてきたグッズが趣味よく使われている。妥協なく好きなものに囲まれた空間が、「間に合わせ」から抜け出してこれからは「少々高くても本当に好きなものを」という生活へシフトチェンジしたいと思っていた我々の心をわしづかみにした。

 こちらのときめきを感じてくれた同志のお二人は、自慢のコーヒーをご馳走してくれた。一つ一つに意味を感じさせる所作で淹れてくれたコーヒーは、我が家の素人コーヒーとは違うレベルの味だった。

 そしてその時に、なぜ我が家のコーヒーとはこんなにも違うのか、という疑問へのアドバイスが「いいミルを持つこと」だった。

 コーヒーミルはこれまで、素人の私には選べない難しい品だったので、コーヒー店で挽いてもらっていた。しかし、あの空間で背中を押してもらい、「よし、妥協しないで、自慢できるようなお気に入りのミルを買おう。」と気持ちが決まった。主人も同意してくれ、家に帰ってから色々調べ、連絡先をお聞きした同志にも相談に乗ってもらって、機能はもちろん大きさも見た目も好みドンピシャのものを厳選し、とうとうコーヒーの老舗ショップに注文した。色は、ブラック。品切れで入荷待ちだったが、じっくり一か月入荷を待った。

 そして、とうとう我が家に到着したミル様は、期待以上の存在感をはなっている。
 豆を挽く度に家中に広がる大好きなコーヒーの香り。挽きたての豆だと、こんなにも粉は膨らむのか。うわっ、この味。お気に入りのあの喫茶店にひけをとらないかも⁉️

 これからは毎日、こんなコーヒーが飲めるんだ。かなりのフンパツだったが、これからの生活を豊かにしてくれるのだから微塵の後悔もない。それどころか、我々が目指すシフトチェンジに一歩踏み出せたようで、年甲斐もなくはしゃいでいる今日この頃である。